パテック研修報告 その3


パテックフィリップ研修報告です。

続きましてはまさに時計の顔である、文字盤。
その文字盤工場についてです。
ラショードフォン近郊のサンティミエという町にある
FLUCKIGERという文字盤会社。
ここでパテックフィリップの文字盤が作られています。
読み方は人によって違うのですが
僕にはフルキガーと聞こえたのでフルキガーと呼ばせていただきます。

ここも残念ながら内部が撮影禁止だったので
文章だけのご紹介になってしまいます、、、が、
実はタイミング良く、発売中の時計Begin(もうすぐ新刊がでますが)
に、この工場の写真がたくさん掲載されていますので
気になる方はご覧ください!

工場の向かいは、ご覧の景色。。
お花がたくさん咲いています!
時計ってこんな環境でつくられるんですね~(改めて・・)

さて、このフルキガー社、
1860年設立の歴史のある会社で、パテックに買収されたのが2004年、
現在パテックが90%以上の株式を保有している
ということです。
ただ、外注も受けていて、パテックの工場ながら
他社の(ここでは明かせませんが、、)文字盤もたくさん作っていました。
93名の社員で年間12万枚の文字盤を作っているそうです。
文字盤は制作開始から完成まで4~6ヶ月かかります。
100~120もの行程を経てやっと完成します。
この僕らが訪れた社屋は2005年に完成した
新しい社屋だそうです。

 

、、、となると気になるのが
2004年に買収された後なのに
なぜパテックフィリップという名前を冠していないのか??
質問をしてみますと
機械を完全にジュネーブ市内で作ってはいるものの
このフルキガーのあるサンティミエで文字盤を作っているので
ジュネーブシールを押すにあたって都合が悪かったとのことです。
現在はご存じのようにPPシールになっていますので
もしかしたら近日中にフルキガーの看板からパテックフィリップという
社名にかわるかも、ということでした。
そうなると、表面的にもパテックフィリップが他のブランドの
文字盤をつくるということに、、、なんだかおもしろいですね。
文章だけで、何をどのようにお伝えしようか、、、、難しいですが、、、
僕の印象深かったことをお伝えしたいと思います。
まず、他社の文字盤制作とパテックの文字盤制作の違いに
ビックリしました。
たとえば、インクを転写する作業ですが、
他社のものは濃いインクを1回スタンプして乾かしたら基本的には終了しますが
パテックフィリップのものは薄めのインクを6~8回ほどスタンプするそうです。
それにより、インクの盛り上がりが出来、
見た目の高級感が増すそうです。
スタンプの回数の数だけ、乾燥の手間がかかりますし、
寸分のズレもないようにスタンプを繰り返すことで、リスクは相当高まりますが
そこの手間を惜しまず制作していることにビックリしました。

そして、ギヨシェですが
機械でやっているメーカーさんも多い中
パテックは昔の機械を修復して
現在も完全に手彫りで行っていました。
もちろんパテックだけがそうではないですが、
少なくともフルキガー工場の中で
この手彫りのギヨシェの機械を使っていいのはパテックフィリップの文字盤だけ、
という差別化が図られていました。
なので、他社で手彫りギヨシェを施したい場合は
違う工場にわざわざ出さないといけない、、
そうなると、より高いコストがかかってしまう、という具合です。

パテックの文字盤のインデックスはクォーツの24から
グランドコンプリケーションに至るまで
すべて18金が使われています。
さらに上の写真の中心からのびる放射線の模様も
すべて手作業で入れていました。
その実演の様子が時計Beginに載っていましたので
気になる方は是非ご覧ください、タイムアートの店頭にも置いております。
他にもいろいろあるのですが、、、上手に伝えられないのでこの辺で。。
学んだことでしたらまた話しかけていただけたらお答えします!!